ゲーミングpc有線つなぎ方|「壁・ドア越え」配線術とCAT7不要の真実

「いいところで撃ち負けた…」

重要なランクマッチの最中、敵と遭遇した瞬間に画面が一瞬カクつき、気づいた時にはデス画面が表示されていた。そんな悔しい経験はありませんか?

さらに追い打ちをかけるように、ボイスチャットで味方から「ラグい」「Wi-Fi勢はランクに来るなよ」なんて心ない言葉を投げかけられたなら、そのストレスは計り知れません。

「2階の自分の部屋まで有線を引ければ解決するのは分かってる。でも、うちは実家だし、壁に穴なんて開けられないし、廊下にケーブルを這わせたら親に絶対怒られる…」

そうやって諦めていませんか?

その悩み、たった半日の作業と数千円の投資で、誰にも怒られずに完璧に解決できます。

この記事では、家を1mmも傷つけず、ドアを閉めたまま1階から2階まで有線LANを引き込む「ステルス配線術」と、多くのゲーマーが陥りがちな「高いLANケーブル(CAT7)を買って逆に損をする」という失敗を回避するためのプロの知識を伝授します。

今日で「回線弱者」を卒業しましょう。

なぜ「高いLANケーブル」を買うと失敗するのか?プロがCAT6Aを選ぶ理由

まず、配線を始める前に一番重要な「機材選び」の話をさせてください。ここで間違えると、いくら苦労して配線してもラグは消えません。

あなたはAmazonや家電量販店で、「CAT7(カテゴリ7)」や「CAT8(カテゴリ8)」という数字が書かれた、少し高価なLANケーブルを手に取っていませんか? 「数字が大きい方が性能が良いし、速くなるはずだ」と。

はっきり言います。家庭用のルーターやPCに繋ぐなら、CAT7やCAT8は絶対に買わないでください。

なぜなら、業務用規格であるCAT7以上のケーブル(STP)と、一般家庭の環境は「不適合」な関係にあり、逆に通信が不安定になるリスクが高いからです。

「アース」がないとノイズの逃げ場がない

LANケーブルには大きく分けて2種類あります。

  1. UTP(Unshielded Twisted Pair): シールド(金属箔)がないタイプ。一般家庭用(CAT6A以下)。
  2. STP(Shielded Twisted Pair): シールドで保護されたタイプ。業務用・工場用(CAT7以上)。

CAT7などのSTPケーブルは、外部からの強力なノイズを防ぐために金属箔で覆われています。しかし、このシールドが吸収したノイズを外に逃がすためには、接続機器側(ルーターやPC)に「アース処理」が施された専用のポートが必要です。

データセンターの機器にはこのアース機能がありますが、皆さんが使っている家庭用ルーターやPCのLANポートには、基本的にアース機能がありません。

アースが取れていない状態でSTPケーブルを使うとどうなるか? シールド内に溜まったノイズの逃げ場がなくなり、ケーブル自体が巨大なアンテナとなってノイズを呼び寄せ、通信速度の低下や切断を引き起こしてしまうのです。

これが、「高いケーブルを買ったのに逆にラグくなった」という現象の正体です。

したがって、家庭用で10Gbps(ギガビット)の高速通信に対応し、かつトラブルなく安定して使える最強の規格は、UTPケーブルである「CAT6A(カテゴリ6A)」一択となります。

1階から2階へ!家を傷つけずドアも閉まる「ステルス配線」3ステップ

機材の正解が「CAT6A」だと分かったところで、いよいよ本題の配線です。

「ドアや壁はどうするの?」
「廊下にケーブルがあると掃除の邪魔だと親に言われる」

そんな実家ゲーマーの課題を解決するのが、「隙間用LANケーブル」「配線モール」を組み合わせたステルス配線術です。この方法なら、壁に穴を開けることなく、見た目もプロ並みに綺麗に仕上がります。

Step 1: 必要なものを準備する

まずは以下の「三種の神器」を揃えてください。これらはすべてAmazonや家電量販店で手に入ります。

  1. CAT6A LANケーブル(UTP): ルーター〜ドアまで、ドア〜PCまでの2本。長さに余裕を持つこと。
  2. 隙間用LANケーブル(中継ケーブル): 窓やドアのサッシを通すための、極薄・アルミ補強されたフラットケーブル。これが今回の主役です。
  3. 中継コネクタ(RJ-45): ケーブル同士を繋ぐための小さな部品。2個必要。
  4. 配線モール(壁用) & マスキングテープ: ケーブルを隠して壁に固定するためのカバーと、壁紙を守るための下地テープ。

Step 2: 最大の難所「ドア」を攻略する

2階への配線で最大の障害となるのが、部屋のドアです。ケーブルを通すためにドアを開けっ放しにはできませんよね。

ここで「隙間用LANケーブル」の出番です。

このケーブルは厚さ1.5mm程度と非常に薄く、アルミテープで補強されているため、ドアや窓サッシの隙間に通して、そのまま閉めることができます。

  1. ドアの隙間に「隙間用LANケーブル」を通し、両端を形に合わせて折り曲げて固定します(断線しにくい素材ですが、直角に何度も曲げ伸ばしするのは避けましょう)。
  2. ドアの内側と外側に出ている端子に「中継コネクタ」を接続します。
  3. そこからさらに通常のLANケーブルを繋いで延長します。

これで、物理的な「壁」は突破できました。

Step 3: 廊下と階段を「モール」で隠蔽する

最後に、だらんと垂れ下がったケーブルを綺麗に処理します。ここが親を説得できるかどうかの瀬戸際です。

賃貸や実家で壁を傷つけないための鉄則テクニック、それが「マスキングテープ(マステ)下地」です。

  1. ケーブルを通したいルート(壁の隅や巾木の上)に、まずマスキングテープを貼ります。
  2. そのマステの上に、両面テープ付きの「配線モール」を貼り付けます。
  3. モールの中にケーブルを収納し、蓋を閉めます。

こうすることで、強力な両面テープはマステの上に張り付くため、剥がす時はマステごと剥がせば壁紙は無傷です。見た目も家の内装に溶け込み、掃除機の邪魔にもなりません。これなら文句を言われることはまずないでしょう。

 ケーブルの長さは、メジャーで測った実測値より「プラス3メートル」余裕のあるものを買ってください。なぜなら、壁の角を這わせたり、ドア枠を迂回したりすると、想定以上に長さを消費するからです。配線作業の最後で「あと50センチ届かない!」となって絶望するのは、DIY初心者の典型的な失敗パターンです。余った分は束ねてPCの裏に隠せばいいだけですが、足りない分はどうにもなりません。

妥協案はアリ?「中継機有線」vs「直結」の残酷な性能差

「やっぱり配線作業は面倒くさいな…Wi-Fi中継機を買って、その有線ポートに繋ぐだけじゃダメなの?」

そう考える気持ちも分かります。確かにその方が楽です。しかし、FPSや格闘ゲームで「勝ちたい」なら、それはおすすめできません。

中継機の有線ポートに接続する方法(イーサネットコンバータ機能)は、PCと中継機の間は有線ですが、肝心の中継機と親ルーターの間は結局「無線(Wi-Fi)」で通信しているからです。

これは「強力なWi-Fiアンテナを外付けした」に過ぎず、Wi-Fi特有の「Ping値の揺らぎ(Jitter)」や「パケットロス」のリスクは残ったままです。

ガチ勢なら知っておきたい接続方式による性能差

接続方式 通信速度 (bps) Ping値 (応答速度) Jitter (安定性) 判定
ルーター直結 (CAT6A) ◎ (最速) ◎ (常に低い) ◎ (ほぼゼロ) FPS最適解
中継機経由の有線 ◯ (速い) △ (多少揺らぐ) △ (干渉受ける) RPGならOK
Wi-Fi接続 (2階) △ (減衰あり) × (跳ね上がる) × (不安定) 撃ち負ける原因

 

中継機経由は、動画視聴やRPGなら十分快適ですが、0.01秒を争う対戦ゲームでは、この「微細な揺らぎ」が勝敗を分けます。「直結」という物理的な繋がりこそが、何にも代えがたい安定性を生むのです。

よくある質問 (FAQ)

Q1. LANケーブルは長くても速度は落ちませんか?
A. 全く問題ありません。
LANケーブル(CAT6Aなどのツイストペアケーブル)の規格上の最大長は100メートルです。一般家庭で20〜30メートル引き回したとしても、速度低下や遅延を感じることは物理的にあり得ません。安心して長いケーブルを買ってください。

Q2. 隙間用LANケーブルを使うと速度が遅くなりませんか?
A. 規格に適合した製品なら、体感できるほどの劣化はありません。
ただし、通常のケーブルよりはノイズに弱い構造なので、あまりに長距離(5m以上など)を隙間ケーブルだけで配線するのは避けましょう。あくまで「ドアを通すための数十センチ」だけピンポイントで使うのがコツです。

Q3. 自分のPCやノートPCにLANポートがありません。
A. USB接続の「LANアダプター」を使えばOKです。
Amazonなどで「USB LANアダプター 有線」と検索すれば、2,000円程度で購入できます。選ぶ際は必ず「1000BASE-T(ギガビット)」に対応しているものを選んでください。Switchの場合も同様のアダプターで有線化可能です。

まとめ:そのラグは「回線」のせい。今日で終わりにしよう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

「なんだ、意外と自分でもできそうじゃん」と思ってもらえたなら、あなたの勝ちです。

必要な機材(CAT6Aケーブル、隙間ケーブル、モール、中継コネクタ)を揃えても、費用は数千円。作業時間は半日もあれば終わります。

そのわずかな手間を惜しまなければ、あなたは今後数年間、「ラグのせいで負けた」というストレスから完全に解放されます。 親に怒られる心配もなく、綺麗な部屋のまま、安定した回線で思う存分ランクマッチに打ち込めるのです。

さあ、今すぐ必要な長さを測って、機材をポチりましょう。週末には、ヌルヌル動く最強の環境があなたを待っています。

参考文献

LANケーブルのノイズとは?Cat7(カテゴリ7)と6の違いについて

出典: パンドウイットコーポレーション

LANケーブルのカテゴリーはどれがおすすめ?主な種類と選び方を解説

出典: I-O DATA

すきま用LANケーブル(フラットケーブル)の活用法

出典: サンワサプライ直営 サンワダイレクト

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