「よし、CPUはCore i7にしたし、グラボもRTX 4070で決まり!」
意気揚々とGALLERIAの注文を進めていたあなたの手が、最後の「構成カスタマイズ」画面でピタリと止まっていませんか?
そこにあるのは、「電源ユニット」の項目。
標準搭載の「650W 80PLUS BRONZE」の下に、+7,000円などの追加料金で「750W 80PLUS GOLD」や有名メーカー製の電源がずらりと並んでいます。
「標準のままで大丈夫なの? ネットだと『ドスパラの電源は壊れやすい』なんて噂もあるし…」
「でも、予算もカツカツだし、よく分からないパーツに追加料金を払うのは抵抗がある…」
その迷い、非常によく分かります。そして何より、ここで立ち止まって正解です。
結論から言えば、電源ユニットはPCパーツの中で最も地味ですが、PC全体の寿命を左右する最重要パーツです。ここでの選択を間違えると、数年後に「PCが突然落ちる」「起動しなくなる」といった悪夢を見ることになりかねません。
この記事では、技術的な根拠と「お金の話(電気代)」を交えて、なぜ電源を変えるべきなのか、そして具体的にどれを選べばいいのかを解説します。
【結論】標準でも「すぐ」は壊れない。だが3年後に差が出る残酷な真実
まず、ネット上にある「ドスパラの標準電源は粗悪品ですぐ壊れる」という極端な噂についてですが、これは半分正解で半分間違いです。
現在のGALLERIAに搭載されている標準電源は、AcBelやSilverStoneといった実績あるメーカーが製造(OEM)しており、初期不良率は他社と比べても決して高くありません。買ってすぐに火を吹くようなことはまずないので安心してください。
しかし、プロの目から見ると、「標準電源(BRONZE)」と「上位電源(GOLD)」の間には、決定的な「寿命の壁」が存在します。
内部パーツの「グレード」が違う
標準電源は、コストを抑えるために、内部のコンデンサなどの重要部品に標準グレードのものを使っているケースが多いです。一方、上位の電源(特にGOLD認証やSeasonic製など)は、耐熱性が高く長寿命な日本メーカー製コンデンサを採用することが一般的です。
この差がいつ出るか? それは2〜3年後の夏です。
ギリギリの品質の電源は、経年劣化によって出力が不安定になりやすく、PCが高負荷になった瞬間にプツンと落ちるなどのトラブルを引き起こします。
つまり、標準電源のままでも動きますが、それは「3年後に訪れるかもしれない故障リスク」を抱えたまま使うということなのです。
なぜプロは「GOLD」を選ぶのか?電気代で元が取れる「実質タダ」のからくり
「でも、+7,000円は高いなぁ…」と感じているあなたへ。
実は、80PLUS GOLD電源へのアップグレードは、長期的に見れば「実質タダ」、あるいは「お釣りが来る」投資であることをご存知でしょうか?
その秘密は、「80PLUS認証」と「電気代」の関係にあります。
80PLUS GOLDは「省エネ」で「熱くない」
80PLUS認証とは、コンセントからの電気をどれだけ無駄なくPC内部で使える電気に変換できるかを示す規格です。
- 標準電源 (BRONZE): 変換効率 約82%(残り18%は熱として捨てられる)
- 上位電源 (GOLD): 変換効率 約87%(残り13%しか捨てられない)
この「5%の差」が重要です。GOLD電源は、BRONZE電源に比べて無駄な電気を使わず、そのぶん発熱も少なくなります。発熱が少ないということは、冷却ファンの回転も抑えられ、パーツの劣化も遅くなるという好循環を生みます。
3年使えば差額は回収できる
では、これをお金に換算してみましょう。
例えば、毎日5時間ゲームをするゲーミングPCの場合、GOLD電源を使うことで、BRONZE電源と比べて年間約1,500円〜2,000円の電気代を節約できる計算になります(※構成や電力プランによりますが、一般的な試算です)。
つまり、3〜4年使い続ければ、電気代の節約分だけでアップグレード費用の7,000円は回収できてしまうのです。
カスタマイズ画面で迷ったらコレ!指名買いすべき「正解メーカー」リスト
理論は分かったけれど、「じゃあ具体的にカスタマイズ画面のどれを選べばいいの?」という方のために、私が自信を持って推奨する「指名買いリスト」を公開します。
【松】予算に余裕があるなら「Seasonic」一択
もし選択肢に「Seasonic(シーソニック)」という名前があれば、迷わずそれを選んでください。
Seasonicは電源ユニット界のロールスロイスとも呼ばれるトップブランドで、安定性・静音性・寿命のすべてにおいて最高レベルです。
【竹】コスパ最強の鉄板「750W 80PLUS GOLD」
最もおすすめなのが、「750W (または850W) 80PLUS GOLD認証」と書かれた電源への変更です。特定のメーカー名がなくても、ドスパラが用意しているGOLD電源は、DeepCoolなどの信頼できるメーカーのOEM品であることが多く、品質は標準電源より格段に上です。
多くのユーザーにとって、これが「+7,000円前後で選べるベストバランス」となります。
【梅】どうしても予算がないなら「容量アップ」だけはする
「どうしてもお金がない…」という場合でも、容量(ワット数)だけはケチらないでください。
ギリギリの容量で使い続けると、電源に常に高負荷がかかり、寿命を縮める原因になります。最低でも、推奨容量より少し余裕を持たせた構成にしましょう。
【容量計算】あなたの構成には何ワット必要?RTX40シリーズの目安表
最後に、電源容量の選び方について補足します。
電源は、PCが最大パワーで動いた時の消費電力のおよそ2倍の容量を持つものを選ぶと、最も効率よく、長持ちすると言われています。
RTX 40シリーズを搭載する場合の推奨容量(目安)は以下の通りです。
GPU別・推奨電源容量早見表
| グラフィックボード | 推奨電源容量 (最低ライン) | プロのおすすめ容量 (余裕あり) |
|---|---|---|
| RTX 4060 / 4060 Ti | 550W | 650W 〜 750W |
| RTX 4070 / 4070 SUPER | 650W | 750W 〜 850W |
| RTX 4080 / 4080 SUPER | 750W | 850W 〜 1000W |
| RTX 4090 | 850W | 1000W 〜 1200W |
標準構成が「最低ライン」ギリギリになっていることもあります。
将来的にパーツを増設したり、USB機器をたくさん繋いだりすることを考えると、一つ上の容量(+100W)を選んでおくのが、PCを長持ちさせるコツです。
まとめ
たかが電源、されど電源。
CPUやグラボのようにゲームのフレームレートを上げるわけではありませんが、電源ユニットはあなたのPCの寿命そのものを握っています。
ここで数千円をケチって、3年後に「PCが起動しない…」と頭を抱えるリスクを負うか。
それとも、飲み会1回分の投資で「GOLD電源」に変えて、5年間安心してゲームを楽しむか。
答えはもう出ているはずです。
さあ、カスタマイズ画面に戻って、自信を持って「GOLD」にチェックを入れましょう。そのワンクリックが、あなたのPCライフを数年延ばす、世界一安い保険になります。
