念願の新しいハイスペックゲーミングPCが届いた喜びも束の間、Steamを開いて「ダウンロード残り時間:12時間」という表示を見て絶望した経験はありませんか?
Apex Legends、Cyberpunk 2077、ARK…最近のゲームは平気で100GBを超えてきます。1TB近いライブラリを全て再ダウンロードしようとすれば、どんなに回線が速くても週末の半分は潰れてしまいます。
しかし、その待ち時間は「知識」で解消できます。Steamの仕様を逆手に取った「フォルダ移植術」を使えば、テラバイト級のデータ移行も数時間、環境によっては数十分で完了します。
この記事では、一般的な「データ引っ越しソフト」を使わず、ゲーム本体、セーブデータ、そして忘れがちな設定ファイルを、最も速く・確実に新PCへ移植する「ゲーマーのための最適解」を伝授します。金曜の夜に作業を始めて、土曜の朝一番からランクマッチを回しましょう。
Steamの仕様をハックせよ:フォルダ移動だけでインストールを完了させる裏ワザ
多くの人が誤解していますが、Steamのゲームは新PCで再ダウンロードする必要はありません。 Steamには「既存のゲームファイル」を認識し、インストールの整合性をチェックする機能が標準で備わっています。これを利用すれば、フォルダをコピーするだけで移行が完了します。
手順は驚くほどシンプルです。
- 旧PC: Steamのインストールフォルダ(通常は C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common)を開きます。
- コピー: 移行したいゲームのフォルダを、外付けSSDやLAN経由でコピーします。
- 新PC: 新しいPCの同じ階層(steamapps\common)に、コピーしたフォルダを貼り付けます。
- 認識: Steamクライアントを起動し、そのゲームの「インストール」ボタンを押します。
- 完了: 「既存のファイルを検出中…」と表示され、ダウンロードなしでインストールが完了します。
この方法なら、数百GBのダウンロード待ちが、数分の「ファイル検証時間」に短縮されます。
消えたら終わる。「セーブデータ」の隠し場所と一括救出ツール
ゲーム本体の移行は簡単ですが、最も注意すべきは「セーブデータ」です。「Steamクラウドがあるから大丈夫」と過信してはいけません。Dark Soulsシリーズの旧作や一部のインディーゲームなど、クラウド非対応のタイトルは意外と多いのです。
しかも厄介なことに、セーブデータの保存場所はゲームによってバラバラです。
- Documents\My Games
- AppData\Local
- AppData\Roaming
- Steamフォルダ内の userdata
これらを手動で一つ一つ探すのは時間の無駄ですし、取りこぼしのリスクがあります。そこで推奨するのが、フリーソフト「GameSave Manager」です。
GameSave Managerのメリット:
- 自動検出: PC内をスキャンし、対応する数千タイトルのセーブデータを自動で特定します。
- 一括バックアップ: 検出されたデータをボタン一つでアーカイブ化できます。
- 簡単復元: 新PCでアーカイブを読み込めば、元の場所に自動で配置してくれます。
これを使えば、「あのゲームのセーブデータだけ消えた!」という悲劇を確実に防げます。
1TBをどう送る?「LANケーブル直結」vs「外付けSSD」速度対決
フォルダをコピーすると言っても、1TBのデータをどうやって新PCに送るかが問題です。クラウド(Google Drive等)経由は回線速度がボトルネックになるため、論外です。
現実的な最速手段は以下の2つです。
| 手段 | 速度 (実測目安) | コスト | おすすめ度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 外付けSSD (USB 3.2) | 800MB/s〜 | 高 | ★★★ | 最速・簡単。 SSD購入コストはかかるが、今後のバックアップ用にも使える。 |
| LANケーブル直結 | 100MB/s (1Gbps) | 低 | ★★☆ | コストは安いが、設定(IPアドレス固定など)が少し複雑。2.5Gbps対応ならさらに高速。 |
| ネット回線 (光) | 10〜50MB/s | – | ★☆☆ | 遅い。1TB送るのに丸一日かかるリスクあり。 |
結論:
もし予算に余裕があるなら、USB 3.2 Gen2対応の外付けSSDを一つ用意するのがベストです。1TBのデータでも20〜30分程度で移動が完了します。
コストを抑えたい場合は、家電量販店で「クロスケーブル(LANケーブル)」を買ってきて、PC同士を直結してファイル共有するのが良いでしょう。
忘れがち!Discord、OBS、マウス感度の設定ファイル移行
ゲーム本体とセーブデータで満足してはいけません。ゲーマーにとって「いつもの環境」を再現するには、周辺ツールの設定移行も不可欠です。
- Discord: 設定移行はできませんが、AppData\Roaming\discord フォルダをコピーすると、一部のキャッシュや設定が引き継げる場合があります(基本は再ログイン推奨)。
- OBS Studio: ファイルメニュー → プロファイルフォルダを表示 / 設定フォルダを表示 で開いたフォルダを丸ごと新PCにコピーすれば、シーン設定や配信設定がそのまま復元されます。
- マウス設定: ゲーム内の感度設定はもちろん、マウスドライバ(G Hubなど)のプロファイルもエクスポート/インポート機能を活用して移行しましょう。
移行後のトラブルシューティング:起動しない時の対処法
「フォルダを移したのにゲームが起動しない!」
そんな時は焦らず、以下の手順を試してください。
- ファイルの整合性を確認:
Steamライブラリでゲームを右クリック → プロパティ → インストール済みファイル → ゲームファイルの整合性を確認。壊れたファイルだけを自動で修復・再DLしてくれます。 - 必須ランタイムの不足:
新PCには DirectX や Visual C++ Redistributable が入っていない場合があります。これらをインストールしてください(大抵はゲーム初回起動時に自動で入ります)。 - グラボドライバの更新:
GeForce Experience等を使って、最新のドライバが入っているか確認しましょう。
まとめ:金曜の夜に作業して、土曜の朝からランクマッチへ
ゲーミングPCのデータ移行は、正しい手順(Steamフォルダ移植+GameSave Manager)と、適切な物理デバイス(高速SSD)を使えば、決して怖いものではありません。
再ダウンロードのプログレスバーを眺めて週末を浪費するのは、もう終わりにしましょう。
さあ、今すぐ外付けSSDを繋いでコピーを開始してください。明日の朝には、新しい相棒でランクマッチを回しているはずです。
参考文献リスト
- Steam サポート: Steam のインストールとゲームの移動 – Valve Corporation
- GameSave Manager – InsaneMatt
